讃岐うどんと甲州ほうとう


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旧讃岐国・現在の香川県で欠かせない料理といえば、うどんです。「讃岐うどん」のブランドは、日本国民なら誰もが認めるところでしょう。

統計上の裏付けもあります。都道府県別のうどん総生産量を例に挙げれば、第1位の香川県が6万トンを超えるのに対し、第2位の埼玉県は2万トン未満というように、香川のうどんは他の追随を許しません。

四国旅行に出掛けるなら・・・特にその旅行が今後の人間関係を大事にしたい友人、仲間、あるいは恋人との大事な旅であるのなら、ぜひ香川に立ち寄って讃岐うどんで勝負をかけてみましょう。製麺所によるうどんの提供という、他県にはない業態が香川県内にはあります。

特に高松市や中讃地方の裏通りや田舎などに長蛇の列が出来ていたら、製麺所うどんだと思ってもらえば結構です。のれんや看板など、うどん屋が存在するという目印が何もない路地裏で製麺所直売のうどんをおいしく食べられる意外性に、このシステムの紹介者の株も上がるというものです。

このように津々浦々にまでうどん文化が浸透している香川県ですが、小麦栽培に適した気候やだしに使うイリコが潤沢に手に入るというのがその発展の理由のようです。では、讃岐のうどんはどこから伝えられたのか・・・漢語の「混沌」にそのヒントがあるようです。

たとえば「温泉オンセン」と「雲仙ウンゼン」のように、漢語は発音が同じであれば意味が同じになるという特徴があります。「入り混じって区別が付かない状態」すなわち「カオス」を表す「混沌コントン」が、中国大陸では日本でもお馴染みの「雲呑ワンタン」や、小麦粉生地であんこを包んだ「混飩コントン」ないし「温飩ウントン」という菓子に転じ、このうち「温飩」が日本では小麦を使った麺料理「饂飩ウドン」に発展したという説があるのです。

ともあれ、中国大陸から伝播してきたうどんは、旧甲斐国・現在の山梨県では別の形で留まったと考えられます。中国・広東料理の「雲呑ワンタン」は上海では「ウンドン」と呼ばれますが、北京での発音は「ホゥントゥン」、西安では「ホエトエ」といいます。

この発音が甲州山梨の郷土料理「ほうとう」に近似しており、ほうとうのルーツは中国大陸にあるという可能性が研究家によって指摘されています。同じ小麦粉を原料とした料理や菓子が遣唐使などによって日本に輸入され、瀬戸内海に面した讃岐では塩を練り込んで打って寝かせたたうどんとしてイリコだしで味わい、盆地にたたずむ甲斐では貴重品である塩は使わず寝かせもせずに味噌とカボチャで煮込んでとろりと甘く味わうようになったものだと推測されるのです。

甲州山梨でほうとう鍋に舌鼓を打つ際には、遠く瀬戸内海の香りのする讃岐うどんや、遣唐使時代の中国大陸に思いを馳せるのも乙なものではないでしょうか。


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